竜馬の人生・第十九回について 坂本龍馬のことなら龍悠会

 

坂本龍馬の人生を辿る

坂本龍馬の時代の基礎知識2


その欧米諸国の強力な軍事力、とりわけ海軍力は
17世紀末らの工業化の流れの中で進歩的な武器
弾薬を量産できたこと、蒸気機関を利用した高速の
軍艦の建造が可能になったこと等によっている。
そしてまた国民軍を組織できる近代国家であった
というのも大きな理由であった。この二点が幕末という、
実に混沌とした時代を理解するキーポイントになる。

工業化はイギリスの産業革命以降、欧州中に波及し
進展して行った。蒸気機関という動力源、それを
利用した生産機械の発達と製品の量産化は国家に
大きな力を与えた。また近代国家とは1789年の
フランス革命を機に発生しヨーロッパで広まった
国家像である。
バスティーユ牢獄
■バスティーユ牢獄襲撃■

革命によって支配者であった王家一族を退けたことから
フランスはまだ王制を敷いていた欧州各国から危険国家と
して包囲網を敷かれることになる。当時の欧州主要国では
王と貴族が国家の主権者であり、政治も国防も彼らのもの
であった。そして実際の戦闘を行うのは王に雇われた傭兵達
だった。国民は納税の義務こそ負っていたがそれ以外に
義務はなく、関わりが薄いため国家という意識も乏しかった。

ところがフランスはそもそも傭兵を雇う王を廃して
しまった。そのため国防力を確保するためには徴兵を
するしか手がなかったのである。国を「わが国」と
認識した国民(つまり主権を確保したフランス人)は
士気が高く短期間に100万人という大兵力を集め
国民軍を創設した。その上で包囲網を組んだ周辺諸国との
戦闘を開始したのである。

ナポレオン
■ナポレオン1世■

当初はプロである傭兵団に負け続けたが国民軍の士気は
衰えず、軍事の天才とされるナポレオンが登場するに
至って戦闘力も格段に進歩した。そしてフランス軍は
全ヨーロッパを席巻することになるのだが、ナポレオン
との戦争経験から、給料が高く大人数を集められない
傭兵では戦争に勝つことは難しく、国民軍を持たねば
ならないという認識が広まった。国民軍は徴兵で組織する
他はないが何しろ命がけである。傭兵のような高い給料を
支給できないとなれば、国民に主権(政治、軍事)を開放して
一人ひとりに国に対する責任を担ってもらう以外方法が無い。
そこで憲法が作られ、議会制が生まれ国民が国政に参加する
ようになった。こうして国民が主権を持つ近代国家が誕生
したのだ。
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■坂本龍馬びいきのご隠居のつぶやき■
坂本龍馬大好きご隠居の一言
幕末という時代は、日本だけを見ていても全く理解出来ない
時代である。ヨーロッパで起こった近代化の波が植民地獲得
(もっとも列強の真の目的は眠れる大国・清だったのだが)
という形で極東まで波及し、それに対抗すべく日本国内が
沸騰した時代だったのだ。そして列強にあって我に無いものは
何かと考えて日本は猛然と近代化の道を走り始めるのである。

坂本龍馬 家系図